世間はお盆休みに入り、南島原にも帰省している方達の賑やかな声が聞こえてきています。
私は幼馴染が今年は帰省しないということで、その家のご両親と一緒にお酒を楽しみながらのおやすみスタート。私が近頃、南島原をうろうろとしているということをご存知だったようで、南有馬にある地蔵群を紹介していただきました。
とても気になり翌日即出発。
南有馬、古園にある「古園地蔵群」明治の頃に行われた廃仏毀釈によって、首を落とされてこの地域に埋められていた物が道路工事の際に掘り起こされ、地域の人によってこのように祀られています。全てのお地蔵さまの首に補修された跡がありちょっと痛々しい印象もありますが、お堂の中はとても綺麗にされており、地域信仰の深さを感じます。
詳しくは、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)を調べていただければと思いますが、このように立派に掘られているお地蔵様を破壊し土に埋めるという。。ちょっと今では考えられない事が行われていたのです。
また、この地蔵堂の周りはとても長閑な風景が広がり本当に散歩するだけで心が癒されます。もし南島原ロングトレイルを企画したとするならば、絶対にコースに入れようと思います。ただ、今回写真を撮るのを忘れるという凡ミス・・・。次回、必ず撮影しようと思います。
そして、この地蔵堂から少し登った所に、南島原の文化遺産があるのです。あんまり知られていないのが勿体無いので、紹介したいと思います。
「南有馬宝篋印塔群」きちんとした南島原の文化遺産で、本当に綺麗に残っています。
この宝篋印塔は、民家の中庭の先にあるため全く表からは見る事ができません。とても綺麗に管理されておりますが、こちらのご主人は「足が悪いので、きちんと管理することも限界」とおっしゃっていました。早めに対策を考えないと、いずれその姿を見る事はできなくなってしまいます。
そして、今回のメインイベント「原城歴史民俗資料館」への潜入です。
この資料館。ご存知の方もいらっしゃるのではないのでしょうか。同じく古園地区にある個人で運営されている資料館です。ちょうどお盆という事で「戦争と平和展」が開催されていました。この資料館には、ズーーーーッと入りたくて、今回勇気を振り絞ってみました。
入り口には、「展示をご覧になりたい方は、こちらへお電話を」と書かれた看板。ドキドキしながら電話をかけると、上品なお声のおば様の声で「すぐに、2〜3分で行きますね!(おとうさーん)」(COカットアウト)
と、待っている間にレトロ看板を撮影
しばらくすると、おじさまがいらっしゃり、鍵を開けていただきました。中は、普通の家ほどの広さに、所狭しとレトロなものが並べられておりました。
ワクワク感が抑えられません。。
ここから、おじさまのガイドと共に順路である2階へ。そこには非常に貴重な資料が展示されておりました。そこで一つ質問を。
平和祈念像をご存知ですか?
答えがYESの方が、多いことを願います。そして
平和祈念像がどのように作られたかご存知ですか?
この質問、私は答える事ができませんでした。多くの寄付によって建てられた平和祈念像ですが、その中にこのような寄付の方法があったそうです。
「教育資料・長崎原爆瓦・平和祈念像建設協賛会」
原子爆弾によって、約6,000度で焼かれた瓦を、寄付を募る為に販売していたそうです。このエピソードは全く知りませんでした。実際に現物を触らせていただきましたが、通常の瓦より非常に軽く、かなりガサガサとした表面感が原子爆弾の力を伝えてくれています。
このような記録も、
「敵原子爆弾使用・長崎市」「ソ連対日起戦」
8月9日の記録にはっきりと書かれている文字は、当時の古園小学校の先生が記録されていた物だそうです。その記録には、原子雲という黒い雲が南有馬の上空に流れてきたという記録や、ソ連が宣戦布告してきた記録が書かれていました。非常に貴重な資料です。
「原爆で焼けた南京錠」
この南京錠は、原爆が落ちた翌週に長崎市内の川で拾ってきた物らしく、「保○○○」と4文字の名前のようなものが。おそろくどこかの家で使用されていたのでしょう。実際持つと非常に重くずっしりとしています。
「原爆被災者看護記録」
こちらも非常に貴重な資料。当時の新聞に掲載されていた治療や看護の記録がかなり細かく書かれています。その当時は、薬や治療の方法も、病院なども少なく非常に混乱している様子が書かれています。
「寄せ書き・千人針」
この辺りから出征した方が実際に所持していたものだそうです。千人針は1人1針を縫い付けお腹に巻いて、球が当たらないようにという願掛けをしたものと伺いました。
2階にはこのほかにも、様々な資料が。
「進軍ラッパ」
実際に吹いていただきました。まだ現役で音もしっかりと出ます。
戦争とは関係がないですが、貴重な島鉄関連のものも。
島原鉄道の当時の運賃表と時刻表。雲仙・小浜鉄道の路線図なども記載されており、鉄道好きにはたまらないものでした。この表だけで、私としては小旅行したような感覚になりました。
ちなみに諫早駅〜本諫早駅間は「三銭」これは高いのか?
1階にもレトロなものだらけ。いくつか写真でご紹介いたしましょう。
「島原藩・藩札」島原藩だけで使えたお金ですね。
「カラーテレビ」デジタル化したらまだ使える?
「最近まで使用していた、撮影機」
など。また隠れキリシタンの情報もあります。
十字架の刻まれた、茶碗とお皿。キリシタンの遺産であればとっても貴重なものです。本物かどうかはわからないそうですが、ロマン満載で素晴らしい。
いろんな場所に旅行に行くと、このような個人がやられている資料館のようなものがありますよね。この原城歴史民俗資料館もその一つですが、みなさん地域の事が大好きで、とても沢山の事をご存知でいらっしゃいます。夏休みの自由研究などにも非常に良いテーマだと思いますので、お子様を連れて一度訪れてみてはいかがでしょう。
とにかく南有馬は面白い場所が多く、まだまだ発見しきれていません。時間をかけて発掘していこうと思います。